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23 Jan 2020
St. Jude Children’s Research HospitalとChinese Children’s Cancer Groupの研究者らは、フィラデルフィア染色体を原因とする急性リンパ性白血病(ALL)の標的療法を比較した最初の無作為化第III相臨床試験を実施した。
ダサチニブは標準治療に比べてより大きな効果があったという結果は、この白血病の治療方法に変化をもたらすことを示した。
調査結果は、JAMA Oncology誌に掲載された。
小児のALL症例の3~4%は、フィラデルフィア染色体の形成をもたらすBCR-ABL1遺伝子の融合がみられる。
このサブタイプはリスクが高く、不良転帰に関連する。
「これは非常に実り多い共同作業だった」と、St. Jude Department of Oncologyの教授であり、筆頭かつシニア共著者のChing-Hon Pui氏は述べた。 「この種の無作為化臨床試験を行うのに十分な患者を登録できる施設はない。Chinese Children’s Cancer Groupと協力することで、どの標的療法が最も有かに答えるができた」
研究者らは、フィラデルフィア染色体陽性(Ph)ALLの最初の標的療法であるイマチニブと、ダサチニブと呼ばれる次世代阻害薬の有効性を比較した。
この研究では、4年間における無症候生存率が、ダサチニブ71%、イマチニブ49%であったことが示された。
この研究では、中国全土の20の主要病院でPh ALL患者を登録した。
これらのうち、92例にダサチニブ、97例にイマチニブを投与した。
すべての患者が予防的頭蓋照射をせずに集中化学療法を受け、4例のみが幹細胞移植を受けた。
「この研究は、世界的な医学の重要性を実証している」と、St. Jude Department of Global Pediatric Medicine教授であるCarlos Rodriguez-Galindo博士は述べた。 「治療基準における変更を知らせることで、ある国で実施された研究結果により、世界中の子どもたちの命を救うことができる」
この臨床試験の知見は、2019年のEuropean Society for Paediatric Oncology とAmerican Society of Hematologyの年次集会で発表された。
このデータは、今後の臨床プロトコルにおいてフィラデルフィア染色体陽性ALL治療にダサチニブを含めるという、米国およびヨーロッパの他の国家研究グループによる決定の通知に役立った。
(2020年1月16日公開)