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28 Nov 2019
NCRI 2019 Cancer Conferenceで発表された研究によると、血中の遊離型テストステロンと成長ホルモンのレベルが高い男性は、前立腺がんと診断される可能性が高い可能性がある。
高齢、民族性、家族歴などの他の要因は、前立腺がんを発症する男性のリスクを高めることがすでに知られている。
しかし、200,000人以上の男性を対象とした新しい研究は、前立腺がんのリスク減少のために修正可能な2つの要因に関する強固な証拠を示した最初の研究の一つである。
この研究は、英国University of OxfordのNuffield Department of Population Healthに拠点を置く准教授Ruth Travis氏と研究員Ellie Watts氏が主導した。
Travis氏は、次のように述べている。「前立腺がんは、肺がんに次いで世界で2番目に多く診断される男性のがんであり、がんによる死亡のおもな原因である。しかし、リスク減少のための証拠に基づいたアドバイスはない」
「以前の研究では、血液中を循環している2つのホルモンと前立腺がんとの関連性が示唆され、かつこれらは前立腺がんのリスク減少のために変更の可能性がある要因であることから、これらのホルモンレベルを研究することに興味を持った」と、Travis氏は述べた。
研究者らは、UK Biobank projectに参加している男性200,452人を調査した。
彼らが研究に参加したときは、全員がんではなく、ホルモン療法を受けていなかった。
男性らは、テストステロンとインスリン様成長因子-I(IGF-I)と呼ばれる成長ホルモンのレベルを検査するために血液サンプルを提供した。
研究者らは、遊離型テストステロンレベルを算出した。テストステロンは、血液中を循環しており、他の分子に結合していないため体内で影響を及ぼす。
ホルモンレベルの自然な変動を説明可能にするため、後日、男性9,000人のサブセットから2回目の血液サンプルを採取した。
前立腺がんを発症しているかどうかを確認するために、男性は平均6〜7年間追跡された。
グループ内では、5,412症例と病気による死亡は296例であった。
研究者らは、血中の2つのホルモン濃度が高い男性は前立腺がんと診断される可能性が高いことを発見した。
血液1リットルあたりIGF-I濃度が5ナノモル(5 nmol / L)増加するごとに、前立腺がんを発症する可能性が9%高くなった。
血液1リットルあたり遊離型テストステロンが50ピコモル増加するごとに(50 pmol / L)、前立腺がんリスクが10%増加した。
集団全体を見ると、研究者らは、IGF-Iのレベルが最も低い男性と比較して、IGF-Iが最も高い男性のリスクが25%高いことに対応すると述べている。
遊離型テストステロンレベルが最も高い男性は、最も低いレベルの男性と比較して、前立腺がんリスクが18%高くなる。
研究者らは、前立腺がんが発生する数年前に血液検査が実施されたため、ホルモンレベルがより高くなるがんとは対照的に、ホルモンレベルが前立腺がんのリスクの増加につながる可能性が高いと述べる。
研究の規模が大きいため、研究者らは、体の大きさ、社会経済的状態、糖尿病など、がんのリスクに影響を与える可能性のある他の要因も考慮することができた。
「この種の研究では、これらの因子がなぜ関連しているのかはわからないが、テストステロンは前立腺の正常な成長と機能に関与し、IGF-Iは体内の細胞の成長を刺激する役割を果たすことがわかっている。この研究が示すことは、これらの2つのホルモンが、食事、ライフスタイル、体の大きさなどを前立腺がんのリスクと結びつけるメカニズムになり得るということである。これにより、病気を予防するための戦略に一歩近づく」と、Travis氏は述べた。
Travis氏とWatts氏は、これらの知見を確認するために、この研究から得られたデータの調査を続けるだろう。
将来、彼らはまた、最も攻撃的なタイプの前立腺がんの危険因子に注目する予定である。
NCRIの前立腺グループの議長であり、ロンドン大学Imperial College London泌尿器科の教授であるHashim Ahmed教授は次のように述べた。氏は本研究には関わっていない。
「これらの結果は、潜在的に変更される可能性のある前立腺がんリスクに影響する少なくともいくつかの要因があることを示しており重要である。これは自分のリスクを減らすための対策を講じる方法について、アドバイスを与えることができるということである」
「この研究は、非常に大規模な研究を実施することの重要性も示している。これは、参加することに同意した数千人の男性によってのみ可能である」とAhmed氏はつけ加えた。
(2019年11月1日公開)