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e-cancer: 白血病治療薬は小児脳腫瘍の治療に有望

30 Sep 2019

慢性骨髄性白血病の治療に使用される薬剤は、致命的な小児脳腫瘍に対する既存の治療よりもマウスモデルにおいて髄芽腫の進行を抑えるのにより効果的であると、カリフォルニア大学サンディエゴ校Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciencesの研究者らが率いる多施設チームが報告している。
2019年9月20日にPLOS One誌で公開された本研究では、単剤(この場合はニロチニブ)の使用が、ヘッジホッグ経路と呼ばれる細胞経路システムの異常な活性化を有するがん細胞を特異的に標的とし、2種類の異なるメカニズムによる薬剤の併用よりも効果的で毒性が低いことを実証した。

「ニロチニブの未知の活性を発見し、小児脳腫瘍の一種である髄芽腫の大部分の治療に活用できる可能性がある」と、Skaggs School of Pharmacyの教授であるRuben Abagyan博士は述べた。
「より多くの研究が必要であるが、この薬剤は、細胞シグナル伝達経路が過剰に活性化しているいくつかのがんに使用できる可能性がある」

ある種の基底細胞癌、骨髄性白血病、横紋筋肉腫、膵臓腺癌、膠芽腫、および髄芽腫の3分の1のケースでは、ヘッジホッグシグナル伝達経路に障害がある。
この機能障害の結果、癌細胞はSmoothenedと呼ばれる細胞表面受容体を過剰生産する。この異常を伴う悪性腫瘍は、癌による全死亡数の4分の1を占めるとAbagyan氏は述べた。

「髄芽腫のこのサブタイプを持つ患者のごく一部のみが、Smoothenedを標的とする現在の治療法によく反応する」とAbagyan氏は述べた。
「ヘッジホッグ経路の調節不全が癌幹細胞の維持に重要であり、ある種の癌で重要な役割を果たすことを知って、他の必須の抗癌作用に加えて、この経路を阻害する単剤を見つけたいと思った」

この研究で、Abagyan氏とチームは、ヒト髄芽腫腫瘍をもつマウスで腫瘍の成長が抑制され、薬剤耐性が生じないことを発見した。
ニロチニブは、腫瘍の成長に不可欠なSmoothenedといくつかのプロテインキナーゼを同時に阻害する。
ニロチニブは、すでに米国食品医薬品局に承認された慢性骨髄性白血病の治療薬であり、安全性プロファイルを備えており、単独で、または手術、放射線療法、化学療法と組み合わせて、優れた治療薬候補となる。

(2019年9月23日公開)

https://ecancer.org/en/news/16648-leukaemia-drug-shows-promise-for-treating-a-childhood-brain-cancer

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