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e-cancer:血液がん ASH 2025:急性骨髄性白血病において、微小残存病変が早期の生存指標となる強い可能性を示す

18 Dec 2025

HARMONY Allianceの新たな研究によると、治療後に残存する極めて少数の白血病細胞である微小残存病変(MRD)を検出するために設計された高感度検査は、急性骨髄性白血病(AML)患者における長期転帰の早期かつ信頼性の高い指標となり得る。

本研究は、AMLにおいて治療効果の指標および予後予測の指標としてのMRDの可能性を評価した初めての研究である。

本結果は、MRDが治療反応の評価方法をより精緻化し、寛解後療法の個別化に寄与し得ることを示唆している。

これらの知見は、新規AML治療の臨床試験において、MRDが中間エンドポイントとして機能するかどうかを規制当局が判断する際に役立ち、治療効果のより早期兆候を提供する可能性を示している。

AMLは骨髄に発生するがんであり、異常な白血球が過剰に産生されることで、正常な血球の産生を阻害する。

MRDは複数の血液がんで確立されたバイオマーカーであり、治療方針の決定で用いられることが増えている。

The U.S. Food and Drug Administration(FDA)はすでに、多発性骨髄腫の臨床試験において、MRDを代替エンドポイントとして受け入れている。MRDは生存転帰よりも数年早く評価できるため、新規治療の規制当局による承認の迅速化の助けとなり得る。

しかし、FDAはAMLにおいてMRDを代替エンドポイントとして承認していない。

AMLにおける生存の早期予測因子としてのMRDの信頼性を、個々の患者レベルおよび試験レベルで評価するため、研究者らはデータ解析を行った。解析対象は、4つの欧州共同グループが実施した7つの前向き臨床試験に参加し、MRD検査を受けた1,858例の患者であった。

個々の患者レベルでは、強力化学療法を2コース施行後にMRD陽性であった患者は、MRD陰性であった患者と比較して生存する可能性が半分以下であった。

この強い関連性は、割り付けられた治療群やMRD検査法にかかわらず一貫して認められた。

「個人レベルでの関連性は非常に顕著であり、MRD陽性であることは依然として不良な転帰の独立した予測因子である」と、本研究を主導したオランダのAmsterdam University Medical Center Department of HaematologyのJesse Tettero医学博士は述べた。

「これは、現在使用されているいかなる単一の遺伝子学的・分子マーカーよりも強力な予後情報を提供する。他の臨床的因子で補正した後でも関連性は非常に一貫しており、MRDと生存との患者レベルでの関連性を強く裏づけた」

試験レベルでの解析では、MRDに対する治療効果は全生存期間に対する効果と密接に関連していることが明らかとなり、特に造血幹細胞移植(HCT)を受けなかった患者でその傾向が顕著であった。

MRDの改善と生存転帰の改善との相関は高かったが、この関連性に関する信頼区間は、本研究で事前に定められたこのエンドポイントの閾値を下回った。

加えて、利用可能な無作為化試験の数が比較的少なかったことが、この推定値の精度を制限した。

「試験レベルの代替性に関しては、造血幹細胞移植を受けていない患者のデータでは強い相関が示されたものの、試験数が限られているため注意が必要である。試験レベルの代替性を満たすことは非常にハードルが高い」とTettero医学博士は述べた。

規制当局はMRDを完全なエンドポイントではなく、中間エンドポイントとして受け入れることを検討する可能性がある。

この場合、研究を継続し生存データが成熟するまでの間、MRDの状態に関するデータを暫定承認の根拠として用いることができる。

「これは、エビデンスの質を損なうことなく、AML創薬を加速させることができる。これは合理的な導入といえるかもしれない」とTettero医学博士は述べた。

今回の結果から、HCTがMRDと長期転帰との関係を修飾し得ることが明らかとなった。

MRDは通常、患者が初期治療を終了した直後、移植を受ける前の時点で測定される。しかし、HCTは多くの場合で根治的治療であるため、転帰に強く影響するため、試験レベルでの代替性にも影響を及ぼす。

研究者らは、すべてのMRD検査が同等ではないと指摘した。

標準化された手法を用いるhigh-volume reference centres(症例集積の多い基準施設)では最も信頼性の高い結果が得られる一方、分散化された検査数の少ない検査体制では結果の一貫性が低くなる可能性がある。

「MRD検査の質は、どこでどのように実施されるかに大きく依存する。中央集約化され、経験を積んだ検査室では正確で再現性のある結果が得られる。これらの結果は、MRDを臨床的または規制上の判断に用いるうえで不可欠である。この分野自体も大きく発展・成熟してきており、MRDを活用することへの関心が高まりつつあると考える」とTettero医師は述べた。

本研究は、欧州連合の資金提供を受ける欧州の官民連携組織であるHARMONY Allianceにおいて実施された。

 

https://ecancer.org/en/news/27383-ash-2025-measurable-residual-disease-shows-strong-potential-as-an-early-indicator-of-survival-in-acute-myeloid-leukaemia

(2025年12月9日公開)

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