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e-cancer:血液がん ASH 2025:開発された抗体が、血液がんおよび固形がんに対する免疫応答を促進

16 Dec 2025

新たな前臨床研究において、University of Texas MD Anderson Cancer Centerの研究者らは、77Aと呼ばれる抗体療法を開発した。この抗体療法は、多発性骨髄腫やリンパ腫などの血液がんに加え、固形腫瘍においても、治療抵抗性を克服する能力を示した。

本研究は、リンパ腫・骨髄腫領域の准教授であるJun Wei博士と、主任研究者である同領域教授のRobert Z. Orlowski博士が主導した。

Wei氏は、第67回 American Society of Haematology(ASH)Annual Meeting and Exposition(抄録388)において、本研究の結果を発表した。

「77Aが免疫系の働きを再プログラムし、複数のがんに対して効果的に応答できるようにする能力には、非常に大きな可能性がある」とWei氏は述べた。

「本研究の知見は、免疫療法および患者治療に向けた新たな道筋を提示するものである」

77A抗体は、がんに対する免疫系をどのように活性化するのか?

77A抗体は、腫瘍が免疫系を回避するのを助ける熱ショックタンパク質であるHSP70を標的とする。

HSP70は、特定の血液がんおよび固形腫瘍において過剰に産生されることが多く、免疫応答を抑制し、がん細胞の生存を促進することで、免疫にとって不利な腫瘍環境の形成に寄与している。

実験室モデルにおいて、77Aはナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞を含む自然免疫細胞および獲得免疫細胞の活性を高めることにより、強力な抗腫瘍効果を示した。

この抗体は、免疫細胞ががん細胞を検知し、破壊する能力を高め、化学療法、放射線療法、免疫チェックポイント阻害剤などの他の治療法との併用においても良好な効果を示した。

さらに、この抗体は、患者に体外で培養した免疫細胞を投与してがん細胞を標的とする最先端の治療法である養子T細胞療法との併用の可能性も示した。

この研究の次のステップは何か?

重要な点として、77A は複数のがん種の実験室モデルにおいて有効性を示し、さらにヒト免疫細胞を用いた初期試験では、健常ドナーにおいて免疫応答を高め得ることが示された。

これらの知見は臨床試験への道を開くものであり、77Aがさらなる検討に値する汎用性の高い新たな治療選択肢となり得ることを示唆している。

「これらの結果は、77Aが汎用性の高い免疫療法となり得るという確信を与える」と Orlowski氏は述べた。

「次のステップは、この抗体のヒト化バージョンを臨床試験へと進め、複数のがん種にわたる患者における可能性を評価することである」とOrlowski氏は述べた。

77Aのヒト化抗体は現在開発中であり、臨床試験へ移行することが見込まれている。

 

https://ecancer.org/en/news/27434-ash-2025-developed-antibody-boosts-immune-response-against-blood-cancers-and-solid-cancers

(2025年12月10日公開)

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