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e-cancer:血液がん ASH 2025:難治性リンパ腫に対してCAR-T細胞療法が長期的な治療効果を示す

15 Dec 2025

University of Texas MD Anderson Cancer Centerの研究者によると、TRANSCEND FL試験の新たな3年間の追跡調査結果から、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の患者は、前治療が奏効しなかった場合でも、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法によって持続的かつ複数年にわたる寛解を達成し得ることが示された。

リソカブタゲン・マラルユーセル(liso-cel)を用いた試験結果は、12月7日に、リンパ腫・骨髄腫科准教授であるSairah Ahmed医師によって、第67回American Society of Hematology(ASH)年次総会(抄録467)で発表された。

「複数の前治療に抵抗性を示してきた濾胞性リンパ腫患者において、前例のない奏効率と持続的寛解を確認している」と、本試験の主任研究者であるAhmed氏は述べた。

「これらの3年間の追跡調査結果は、CAR-T細胞療法の長期的な有益性のみならず、その良好な安全性プロファイルも示しており、この治療困難な疾患に直面している患者に真の希望をもたらすものである」

MD Anderson Cancer CenterはTRANSCEND試験の参加施設である。

TRANSCEND FL試験とは何か、またその主要な知見は何か?

濾胞性リンパ腫は、進行が緩徐である一方、疾患再発の可能性が高いB細胞悪性腫瘍である。

再発が繰り返されるたびに治療はより困難になり、寛解期間は短縮していく。

多施設共同試験であるTRANSCEND FLでは、CAR-T細胞療法の一種であるliso-celの単回投与が、複数の前治療後に再発または難治性となった濾胞性リンパ腫患者において、持続的寛解と良好な安全性プロファイルをもたらし得るかどうかを評価した。

複数の治療歴を有する107例の患者において、liso-celは極めて高い奏効率を示し、患者の97%が治療に反応し、94%が完全寛解を達成した。

3年間の追跡調査後も、大多数の患者は寛解状態を維持していた。

追跡期間中央値41.5ヵ月時点において、奏効期間中央値、無増悪生存期間中央値、全生存期間中央値はいずれも未到達であり、再発または病勢進行を経験した患者が少ないことを示している。これは、治療効果が持続していることを示唆する有望な所見である。

濾胞性リンパ腫患者におけるliso-celの安全性プロファイルはどのようなものであったか?

Liso-celの長期的な安全性プロファイルは一貫しており、管理可能なものであった。

CAR-T細胞療法で一般的にみられる副作用である重症サイトカイン放出症候群は患者の1%に発現し、重度の神経学的事象は患者の2%に発現した。

これらは、他のCAR-T細胞療法と比較して、比較的低い発現率である。

一部の患者では経時的に感染症や血球数減少が認められたものの、これらの影響は想定されたものであり、長期追跡期間中に新たな、あるいは予期せぬ安全性上の問題は認められなかった。

これらの結果は、濾胞性リンパ腫患者にどのような影響を与えるのか?

2024年5月にThe Food and Drug Administration(FDA)がliso-celを迅速承認したことにより、この治療法は一部の濾胞性リンパ腫患者に使用可能となり、これまで有効な治療選択肢が限られていた患者に新たな選択肢を提供することとなった。

本研究は、濾胞性リンパ腫におけるCAR-T細胞療法として報告されている中では最も長期におよぶ3年間の追跡調査データを提供している点で重要である。

これらの結果は、一部の患者において治療過程のより早い段階で細胞療法を用いる可能性を支持するものである。

 

https://ecancer.org/en/news/27395-ash-2025-results-show-long-lasting-benefits-of-car-t-cell-therapy-for-hard-to-treat-lymphoma

(2025年12月9日公開)

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