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e-cancer:膵臓がん コラーゲンは膵臓がん発生中に保護的な役割を果たす

10 Mar 2021

テキサス大学MD Anderson Cancer Centerの研究者らの新しい研究報告によると、長年の信念に反して、がん関連線維芽細胞によって産生されるI型コラーゲンは、がんの増殖を促進しない可能性があるが、代わりに膵臓がんの進行を制御する保護的役割を果たす。

この新しい見解は、コラーゲンを抑制するのではなく強化する新しい治療アプローチを支持する。

この研究では、コラーゲンは腫瘍内微小環境で作用し、ケモカインと呼ばれる免疫シグナルの生成を停止し、抗腫瘍免疫応答の抑制につながることがわかった。

コラーゲンが失われるとケモカインのレベルが上昇し、がんはより急速に成長する。

この研究は、Cancer Cell誌に掲載された。

「コラーゲンは、何十年にもわたって腫瘍内微小環境の最も高度に研究された成分であったが、その正確な役割は不明なままである」と、癌生物学の議長である上級著者のRaghu Kalluri,医学博士は述べた。 「今では、それが体のがん防御戦略の一部であることを理解している。その戦略をよりよく理解できれば、たとえそれが最適ではない場合でも、治療効果をもたらすために体の自然免役能の強化のために取り組むことができる」

「人体で最大の豊富タンパク質であるコラーゲンは、線維芽細胞と呼ばれる細胞のクラスによって生成され、おもに骨、腱、皮膚に見られる。

「このタンパク質はまた、がんの発生と増殖の間に腫瘍内とその周辺に蓄積する傾向があり、研究者らはそれが腫瘍の増殖、転移、または薬剤耐性の促進に役立つという仮説を立てている」と、Kalluri氏は説明した。

「これらの可能性を調査し、コラーゲンの役割を明らかにするために、研究チームは、膵臓がんの発生中にがん関連線維芽細胞によってコラーゲンが産生されないマウスモデルを作成した。

筋線維芽細胞と呼ばれるこれらの細胞からコラーゲンを遺伝的に削除後、全コラーゲンの50%以上が腫瘍内微小環境に存在しなかった。

コラーゲンが減少すると、膵臓がんの増殖が加速し、マウスの全生存期間が大幅に減少した。これは、コラーゲンががんの進行を阻止する上で重要な役割を果たしていることを示唆している。

研究者らは、コラーゲンが腫瘍の発達にどのように影響しているかを理解するためにさらに調査した。 コラーゲンが減少した腫瘍では、がん細胞は、抗腫瘍免疫応答を弱める免疫細胞の一種である骨髄由来免疫抑制細胞 (MDSC)を引き付けることが知られている高レベルのケモカインを産生した。

実際、研究者らは、コラーゲン欠損腫瘍には、より多くのMDSCが存在し、効果的な抗腫瘍反応を起こすT細胞やB細胞などの免疫細胞が少ないことを発見した。 興味深いことに、標的療法でケモカインシグナル伝達活性をブロックすると、これらの腫瘍の免疫プロファイルが逆転し、腫瘍の進行が遅くなり、対照と同様のレベルに戻った。

「膵臓がんは免疫学的監視が不十分ながん、つまり免疫抑制性の腫瘍微小環境を伴うがんと考えているため、これはやや意外だった」とKalluri氏は述べた。 「しかし、この研究は、免疫系が実際に膵臓腫瘍の成長をある程度制御していることを示しており、コラーゲンが失われると、さらに有害な免疫抑制腫瘍の微小環境がみられる」

膵臓がんは全体的に転帰が悪い最も攻撃的な腫瘍タイプの1つであることに留意し、コラーゲン自体がとくに効果的な防御機構ではない可能性があることをKalluri氏は認めた。しかし、それは、体ががんの発生を制御するためにできることを行っていることを示している。

彼は、その体の反応をブレーキが故障している車に例えている。

車はブレーキを効率的にかけたとしても効率的に停止できないが、ブレーキをまったくかけない車よりはましである。

現在の課題は、コラーゲンレベルを上げるか、コラーゲンの下流効果を高めて抗腫瘍反応をさらに強化することにより、これらのブレーキを修正するための治療戦略を特定することであると、Kalluri氏は説明した。

これらの戦略の探求は、Kalluri氏のチームによる将来の研究の焦点となるだろう。

https://ecancer.org/en/news/19790-collagen-plays-protective-role-during-pancreatic-cancer-development

(2021年3月4日公開)

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